奈良県立医科大学(奈良県橿原市)の山室和彦氏、池原実伸氏らは、オキシトシン受容体(OTR)を発現する視床室傍核(PVT)の神経細胞が、社会性行動と恐怖記憶の消去(恐怖反応が弱まる過程)の両方に関与することを示した。成果は学術誌「Brain」に2026年3月20日付で掲載され、DOIは10.1093/brain/awaf421。

マウス実験では、PVTのOTR発現神経を化学遺伝学的手法(DREADD)で選択的に抑制・活性化し、社会性行動と恐怖記憶の消去への影響を評価した。さらに電気生理解析で、オキシトシン投与によりPVT神経の発火様式や興奮性が変化することを調べ、オキシトシンが回路機能に及ぼす影響を検討した。

ヒトでは、ASD(自閉スペクトラム症)児を含む青年を対象に、唾液オキシトシン濃度と視床の神経微細構造指標(NDI)との関連、およびNDIとASD症状重症度との関連を統合的に解析した。唾液オキシトシン濃度はNDIと有意に関連し、NDIはASD症状のうち注意の切り替えやコミュニケーション困難と関連した。一方で、前頭前野(mPFC)のOTR発現神経の操作では、社会性や恐怖反応への影響が見られなかったとしている。

同研究は、ASDや不安障害、うつ病などで併存しやすい「社会性の低下」と「恐怖・不安の制御困難」が脳内でどう結びつくかという課題に対し、PVTのOTR発現神経が中枢的なハブになり得る可能性を示した。今後は、どの患者層でどの回路が治療反応に関わるかの検証が進めば、回路特異的な介入戦略の検討につながる。

【関連リンク】
詳細URL:https://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r7nendo/oxytocin.html
論文URL(PubMed):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41861062

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