ispace(9348)とJAL、JALエンジニアリング、JALUXの4社は2025年11月28日、月面輸送・運航での協業検討に関する基本合意を締結しました。地球と月を結ぶ「シスルナ経済圏」の構築を見据え、ランダー(月着陸船)の整備・運航管理や、月面輸送サービスのペイロード(荷物)搭載枠の販売連携を推進し、高頻度離着陸を支える基盤づくりを目指します。
背景には、JALが2015年からHAKUTO/HAKUTO-Rを継続支援してきた実績があります。2018〜2022年にはJALエンジニアリングが推進系配管の溶接・非破壊検査、組立・試験を担当し、ランダー部品やローバーの航空輸送にも関与しました。ispaceは2022年12月にミッション1を打上げ、2025年1月15日にミッション2を打上げるなど、月周回までの輸送能力や姿勢制御を実証。日本・ルクセンブルク・米国の3拠点に約300名が在籍しています。シスルナ経済圏とは、地球と月の間で人や物資、データが往来する経済圏を指します。
今回の合意では、航空で培った整備・品質管理、航空管制や運航管理の知見を宇宙輸送へ展開し、将来の月面生活圏と輸送機の高頻度運用を支えるシステム・基盤の共創を図ります。JALUXは顧客ネットワークを活用し、民間企業や研究機関向けの搭載枠販売を拡大する役割を担います。
取り組みは段階的に進み、2027年予定のミッション3、2028年予定のミッション4に向けた運用プロセスの高度化や標準化が焦点となります。技術検証や規制整備、採算性の確立は課題ですが、航空並みの安全基準と品質管理が確立すれば、シスルナ経済圏での商用輸送の実装が現実味を帯びます。
source: PR TIMES
