福岡市東区の九州大学病院が、Ubie株式会社のAIシステム「ユビーDPCサポーター」を用いてDPCコーディングの見直しを行った結果、年間6,500万円以上の収益改善と大幅な業務時間短縮が見込めることが分かりました。AIが診療報酬請求に必要な病名や処置のコード選択を支援し、人手だけでは見落としがちな項目を補うことで、提供した医療内容に見合った報酬を確保できるようになったとしています。
国内医療機関の約7割が赤字とされる中(2025年度病院経営定期調査)、診断群分類包括評価(DPC)制度では、主病名や手術コードの選択ミスが収益悪化の要因となってきました。ユビーDPCサポーターは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、オーダー情報だけでなく、電子カルテに記載された数十万~百万字規模の診療録テキストを解析。九州大学病院の過去症例で精度検証したところ、経験豊富な担当者のコードとAI提案との一致率は90%に達し、残る10%も人手で再確認した結果、コード変更が妥当と判断されたといいます。
具体例として、肺がん化学療法目的で入院後に腸閉塞治療が中心となった症例で主病名を見直した結果7,534点、頭頸部がん手術で追加処置コードを選択した結果9,052点の増点につながるなど、高度かつ複雑な症例でAIが抜け漏れを補完するケースが確認されました。AIによる候補提示によって、担当者の経験差によるばらつきが抑えられ、標準的なコーディング水準の維持にも寄与したとしています。これにより、医師や診療情報管理士が患者対応や専門的業務により時間を割ける環境づくりが進むと病院側は見込んでいます。
九州大学病院は、既に導入している「ユビーAI問診」「ユビー生成AI」とあわせて、電子カルテデータを活用した経営可視化やリアルタイム分析への展開を計画しており、病院全体のDX推進を一層加速させる方針です。Ubieは、今回の成果を踏まえてユビーDPCサポーターの提供範囲を拡大し、DPC制度を採用する全国約1,700病院での無償トライアルなどを通じ、医療機関の収益改善と働き方改革の両立を支援するとしています。医療現場では、AIがもたらす診療報酬の「取りこぼし」防止と業務負荷軽減がどこまで浸透するかが、今後の焦点となりそうです。
【サービス情報】
ユビーDPCサポーター:DPCコーディング支援AI/全国のDPC対象病院向け無償データトライアルを提供中
ユビー生成AI:文章生成・音声認識・画像認識・検索などを医療現場向けに統合したAIプラットフォーム
ユビーメディカルナビ:ユビーAI問診・ユビー生成AI・ユビーDPCサポーター等を一括提供する病院向けパッケージ
source: PR TIMES
