ゲイツ財団が公表した「Goalkeepers 2025 Report」によると、2024年に5歳未満で死亡した子どもは460万人で、2025年は約480万人へと今世紀で初めて増加に転じる見通しです。一方で、2025年の国際保健支援は前年より26.9%減少すると予測されており、資金削減が続けば2045年までに最大1,600万人もの子どもが追加で死亡する可能性があると分析しています。

同報告書は、マラリアやHIV、ポリオなどの感染症対策と、途上国の脆弱な保健医療システムが、債務問題と予算削減で危機に直面している現状を示しました。ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)の試算では、国際保健資金が恒常的に20%削減されれば1,200万人超、30%削減では1,600万人の子どもが2045年までに命を落とすと警告しています。

一方で、限られた資金をどこに投じれば最も命を救えるかについて、具体的な数値も示されました。1人あたり年間100ドル未満の投資で強固なプライマリーヘルスケア(身近な一次医療)を整備すれば、子どもの死亡の最大90%を予防できるとしています。また、ワクチン1ドルの投資が経済・社会的に54ドルのリターンを生むこと、Gaviワクチンアライアンスにより2000年以降12億人以上の子どもが予防接種を受けてきた実績も紹介しています。

エイズ・結核・マラリアと闘うグローバルファンドは、2002年以降に7,000万の命を救い、関連する死亡を60%以上減少させてきました。今後も113.4億ドル規模の第8次増資により取り組みを継続する一方で、資金縮小が成果を後退させるリスクも指摘されています。報告書は、RSウイルスや肺炎の次世代ワクチンが最大340万人、マラリア対策の新ツールが最大570万人の子どもの命を救う可能性があると見積もり、長期作用型HIV予防薬など新技術への投資も訴えています。

今後は、各国政府や国際機関がプライマリーヘルスケアと予防接種、データ活用といった高効果分野に資金を集中させられるかが焦点となります。報告書は、財政制約が続く中でも投資の優先順位を精査すれば、子どもの死亡数増加という「逆転」を食い止め、2045年により多くの子どもが生き延びる世界は十分に実現可能だと見ています。世界のリーダーが、資金拡大とともに「限られたリソースでより多く」を達成できるかが問われます。source: PR TIMES

【レポート関連情報】

Goalkeepers 2025 Report(日)

Goalkeepers 2025 Report(英)

GK 2025 プレスキット

ゲイツ財団 Goalkeepers 特設ページ

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