岡山大学と和菓子メーカーの廣榮堂(岡山市中区)は、看板商品「きびだんご」に使う特別栽培もち米の安定調達と、科学的分析による品質継承、カーボンフットプリント(CFP)の可視化に取り組む総合連携を始めました。地域農業の担い手不足という課題に対し、農学・経済学など複数分野の知見を結集し、持続可能な供給体制と新たな顧客価値の創出を狙います。

廣榮堂は、原料もち米を生産する農家の高齢化により、安定調達が難しくなっていました。これに対し岡山大学と廣榮堂、岡山市藤田地区の若手農業経営者が連携し、新たな産地で共同作付け体制を構築します。特別栽培は農薬や化学肥料を減らした栽培方法で、生産者の負担が大きい一方、品質と環境面での価値が高いことが特徴です。

さらに岡山大学、廣榮堂、秋田県立大学は、もち米の育成条件やデンプン構造が食感や風味にどう影響するかを共同研究します。原料の科学分析により、伝統的な「きびだんご」の味と食感を数値で再現可能にすることが狙いです。一方、MS&ADインターリスク総研と岡山大学経済学部天王寺谷達将研究室は、主力商品「むかしきびだんご」のCFPを算定し、環境情報を示すことが消費者の購買行動にどの程度影響するかを実証実験で検証します。

今後は、研究成果を踏まえた栽培指針づくりや商品表示への反映が見込まれます。大学と企業、金融系シンクタンクが一体となった今回の枠組みが、地域農業の持続性と伝統菓子ブランドの強化を両立するモデルとして広がるかが注目されます。

【商品・プロジェクト情報】

むかしきびだんご(廣榮堂の主力商品)

カーボンフットプリント算定と表示に関する共同研究プロジェクト

岡山市藤田地区の若手農業経営者との特別栽培もち米共同作付け

source: PR TIMES

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