宇宙スタートアップのispace(東京都中央区、証券コード9348)は、全22社のパートナー企業との契約満了に伴い、2018年9月に始動した民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」を2025年12月7日に終了します。R&D(研究開発)目的で実施した2023年と2025年の2回のミッションでは、SpaceX社のロケット「Falcon 9」で打ち上げた小型ランダー(月着陸船)により、月周回軌道までの輸送能力や姿勢制御・誘導制御機能の実証に成功したとしています。

HAKUTO-Rは、月への高頻度・低コスト輸送サービスの確立と、民間企業による月面ビジネスの基盤づくりを目的に、独自のランダーとローバー(月面探査車)を開発したプログラムです。ispaceは、日本、ルクセンブルク、米国の3拠点・約300人規模で事業を展開し、グーグル・ルナXプライズからの技術蓄積を生かしてきました。オンラインストアでの関連グッズ販売は12月7日で終了し、「HAKUTO-R」名義のSNSアカウントは12月8日以降、新名称での運用に切り替わります。

同社はHAKUTO-RをもってR&Dフェーズを完了し、「商業化初期フェーズ」へ移行すると位置づけます。2027年にはNASAの民間月輸送枠組み「CLPS」に選定された米国主導のミッション3(Team Draper Commercial Mission 1)、2028年には経産省SBIR補助金を活用した日本主導の新型「シリーズ3ランダー(仮称)」によるミッション4を計画中です。打ち上げ時期は2025年12月時点の想定であり、今後変更の可能性があるとしています。民間主導の月面輸送サービスがどこまで事業として成立するか、アルテミス計画との連携も含め、今後数年の進捗が注目されます。

【プログラム/ミッション情報】

HAKUTO-R:2018年始動、民間月面探査プログラム

ミッション1:2022年12月11日打ち上げ(Falcon 9使用)

ミッション2:2025年1月15日打ち上げ

ミッション3:2027年打ち上げ予定(CLPS選定、米国主導)

ミッション4:2028年打ち上げ予定(シリーズ3ランダー、SBIR活用)

source: PR TIMES

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