米半導体大手オンセミと中国系GaN専業メーカーのイノサイエンスは、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスの生産拡大とグローバル展開加速に向けた覚書(MOU)を締結しました。2030年に約29億ドル規模(世界パワー半導体の約11%)と予測されるGaNパワーデバイス市場を共同で開拓し、両社で数億ドル規模の価値創出を見込む計画です。

提携では、イノサイエンスの200mm GaN-on-Si量産プロセスと大規模ウェハ製造能力を、オンセミのパッケージング技術やドライバIC、システムインテグレーションのノウハウと組み合わせます。これにより、40~200Vクラスを皮切りに低・中電圧GaN製品のポートフォリオを拡充し、AIデータセンター、産業機器、自動車、通信インフラ、家電・電動工具など幅広い用途へ展開を図ります。GaNはシリコンより高速スイッチングと低損失、小型化が可能な次世代パワー半導体で、2024~2030年の年平均成長率は42%と試算されています。

両社は協業によって、プロトタイプ開発から量産立ち上げまでの期間短縮と、部品点数削減・熱設計簡素化によるシステムコスト低減を狙います。オンセミは既存のシリコンおよびSiC(炭化ケイ素)製品にGaNを加えた「インテリジェントパワー」ポートフォリオを強化し、電動車や再生可能エネルギー、AIサーバー向けの電力変換システムでの存在感拡大を目指します。GaN製品のサンプル提供開始は2026年前半を予定しており、量産時期や最終的な提携スキームは今後の協議で固まる見通しです。

source: PR TIMES

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