石川県珠洲市に本社を置く直川クリーニング株式会社が、外部ファンドから劣後ローンによる投融資を受けました。金額は非公表ですが、能登半島地震(2024年1月)後の地域経済の回復と、同社の事業継続を支える資金として位置づけられています。劣後ローンとは、返済の優先順位を他の債務より下げることで、企業の自己資本に近い性格を持つ資金調達手段です。
直川クリーニングは石川県、とりわけ人口減少が進む能登地域で、中核的なクリーニング事業者として店舗・工場網を展開してきました。2024年の能登半島地震により、住民の生活基盤や観光需要が打撃を受ける中、日常インフラに近いクリーニング業の維持は、地域の雇用と生活の両面で重要な課題となっていました。
同社には2023年12月から、金沢市に本拠を置く合同会社 金沢畑憲司事務所が経営コンサルティングサービスを提供しており、収益性向上のための業務改善や、実情に即した事業計画の策定支援を実施してきました。また、株式会社日本政策投資銀行および株式会社QRインベストメントなど外部ファンドが投融資判断を行う際、同事務所が財務・事業内容の情報開示支援を通じて、資金供給の実行に寄与したとしています。
劣後ローンは金融機関側からみればリスクの高い資金ですが、企業の財務基盤を厚く見せる効果があり、災害後の地域企業の再建局面で活用が広がっています。今回の支援で直川クリーニングは、設備更新やサービス改善に向けた投資余力を確保できる可能性が高まりました。一方で、人口減少と需要縮小という構造問題は続いており、コスト削減だけでなく新サービス開発や周辺地域との連携強化など、中長期的な経営戦略の成否が今後の焦点となります。外部ファンドと専門家が関与する枠組みが、他の地方中小企業の支援モデルとして広がるかどうかも注目されます。
【関連情報:投融資スキーム】
株式会社日本政策投資銀行 ニュースリリース 2025年11月28日付
株式会社QRインベストメント ニュースリリース 2025年11月28日付
source: PR TIMES