経団連と経団連自然保護協議会がまとめた「企業の生物多様性への取組に関するアンケート結果<2024年度調査>」で、多くの企業で生物多様性への取組が2023年度調査から着実に進展していることが示されました。生物多様性を経営に組み込む「主流化」が進み、情報開示や目標設定を行う企業の割合が増加しています。
調査は、生物多様性条約の愛知目標採択後の2011年から継続的に実施しているもので、今回は前回と同じ設問構成とし、取組状況の比較と課題の把握を行いました。昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)に対応した具体的な取組を持つ企業が増え、各ターゲットに関連する定量目標を設定する動きも拡大しています。さらに、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に対応する企業が大幅に増え、バリューチェーン全体でのリスクと機会の評価が進んでいると分析されています。
一方で、生物多様性への取組理由としては、社会的要請や規制動向への対応に加え、中長期的な企業価値向上といった経営面の要因が多く挙がりました。課題としては、評価手法の未整備やデータ不足など技術面のハードルが依然として大きいものの、ノウハウ共有やガイドライン整備により徐々に克服されつつあるとされています。今後は、ネイチャーポジティブ経営を後押しする制度づくりと、産業分野ごとの具体的な実践事例の蓄積が、さらなる取組拡大の鍵になるとみられます。
source: PR TIMES
