大日本印刷(DNP)は、1.4ナノメートル世代相当のロジック半導体に対応可能な、回路線幅10ナノメートル(nm)のナノインプリントリソグラフィ(NIL)用テンプレートを開発しました。NILは金型を樹脂に押しつけて回路模様を転写する技術で、同社試算では従来のArF液浸やEUV露光と比べ、露光工程の電力消費を約10分の1に抑えられるとしています。テンプレートはNAND型フラッシュメモリーに加え、スマートフォンやデータセンター向けの最先端ロジック半導体の微細化ニーズに応える狙いです。
開発品は、描画装置で形成したパターンに成膜・エッチングを加えて密度を2倍にする「自己整合ダブルパターニング(SADP)」を活用し、10nmの線幅を実現しました。長年培ったフォトマスク製造とウエハ製造プロセスの技術を応用し、EUV露光設備を持たないメーカーでも先端ロジックの生産が可能になる選択肢を提供します。EUVは高性能ですが設備投資と電力負担が大きく、コスト削減と環境負荷低減の両立が業界課題となっていました。
DNPは半導体メーカーとの評価を進め、2027年の量産開始を目指します。また、2030年度にはNIL関連で40億円の売上増を見込んでおり、需要拡大に対応した生産体制を強化します。今後、NIL技術がEUVの一部工程を置き換える形で併存すれば、先端半導体の製造コストと消費電力の低減が進み、ロジック半導体の微細化競争の構図にも影響を与える可能性があります。2025年12月17〜19日に東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2025」で実物が展示される予定です。
【イベント情報】
SEMICON Japan 2025 DNPブース出展
会場 東京ビッグサイト(国際展示場)東6ホール 小間番号E5936
会期 2025年12月17日〜19日
source: PR TIMES
