首都圏の賃貸住宅で「定期借家契約」の存在感が高まっています。LIFULL HOME’Sに掲載された1都3県の賃貸物件を集計したところ、2025年の定期借家の平均掲載割合は8.7%となり、東京都では9.3%と3年間で3.6ポイント上昇しました。東京23区では2025年のシェアが9.5%に達し、賃料水準は2022年比で119.2%、普通借家(124.5%)より上昇率が小さいものの、実額では一貫して普通借家を上回っています。

定期借家は、あらかじめ契約期間を定め、満了時に自動更新されない契約形態です。継続居住には再契約が必要で、家主側は再契約の条件として賃料引き上げを提示しやすい仕組みとされています。首都圏全体では、定期借家の平均賃料は2025年が2022年比111.4%で、東京都は116.7%、千葉県は113.5%、神奈川県108.2%、埼玉県104.7%といずれも上昇しました。掲載シェアの伸びは神奈川が4.1ポイント増、埼玉が3.8ポイント増と、東京を上回るペースです。

東京23区では、渋谷区の定期借家シェアが18.1%と最多で、品川区15.3%、千代田区12.7%など都心部を中心に12区でシェアが10%超となりました。一方、台東区や板橋区など5区は5%未満にとどまり、エリアによる差も大きい状況です。物価上昇や管理コスト増を背景に、オーナーが賃料改定を行いやすい定期借家を選好している面があり、専門家は「定期借家の拡大が賃料上昇を後押ししている可能性がある」と分析しています。

今後、2026年春の引っ越し繁忙期に向けても、定期借家のシェア拡大と賃料上昇が続く可能性があります。長く住むことを前提に部屋探しをする場合は、月々の家賃だけでなく、契約が「普通借家」か「定期借家」か、再契約時の条件を事前に確認することが、賃料負担を見通すうえで一段と重要になりそうです。

source: PR TIMES

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