JR東日本は、列車荷物輸送サービス「はこビュン」で日本初となる荷物専用新幹線の運行を2026年3月23日に開始し、平日毎日、最大17.4トン(約1,000箱)の荷物を盛岡新幹線車両センター~東京新幹線車両センター間で輸送します。使用するのはE3系7両1編成で、全号車を荷物専用に改造します。

同社は、ライフスタイル変革「LX」を掲げ、新幹線・在来線を活用した「はこビュン」で地方の産品を首都圏へ届ける物流網を拡大してきました。2025年4月からは、東北新幹線「はやぶさ50号」の1・2号車を荷物用とした大口輸送を開始し、毎週金曜に最大約200箱を新青森~東京間で運んでいますが、荷主からは「より多量で高頻度の輸送」を求める声が上がっていました。

新たな荷物専用新幹線は、座席を全て撤去し床をフラット化したうえで鉄板と滑り止め加工を施し、カゴ台車ごとの搭載を可能にします。車内電源で冷温管理機器も使えるため、生鮮品や医薬品など温度管理が必要な品目の輸送にも対応します。ダイヤは正午前に盛岡を出発し16時頃に東京着を想定し、E5系「やまびこ」と連結して走行します。

車両センター構内では、AGV(無人搬送車)を導入し、20kg相当の箱約40個分をけん引して自動搬送することで、4トントラック1台分の荷物を3~4往復で処理できる体制を構築します。これにより、人手不足が深刻な物流現場で荷扱い業務の省力化と安全性向上を図ります。

さらに、2026年1月中旬にはJALグループと連携した国際一貫輸送サービス「JAL de はこビュン」を予定しており、シンガポール、クアラルンプール、台北、香港向けに地域産品を新幹線と航空機でワンストップ輸送できる体制を整えます。鉄道と航空を組み合わせることで、地方の高付加価値品の輸出拡大や地方創生につなげる狙いです。

物流はトラックドライバー不足やCO2削減が課題となる中、鉄道はトラックに比べ1トンあたりのCO2排出量が少ないとされます。JR東日本は、荷物専用新幹線や他社との協業を通じて、環境負荷の低いモーダルシフトと地域経済の活性化を同時に進める考えです。今後は仙台や新潟エリアまで対象を広げ、駅での産直市などリアルな販売の場とも連動させながら、物流と観光・消費を結びつけるモデルがどこまで広がるかが注目されます。

【サービス情報】

JAL de はこビュン:2026年1月中旬開始予定/対象エリア=シンガポール、クアラルンプール、台北、香港

はこビュン概要・申込:株式会社ジェイアール東日本物流公式サイト https://www.jrbutsuryu.jregroup.ne.jp/business/shinkansen.html

source: PR TIMES

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