レーザー・光学機器商社の光響(京都市)は、米Alluxa社製の高性能光学フィルター「ULTRAシリーズ」の輸入販売を始めました。最大の特徴は、波長幅0.1ナノメートル(nm)の超狭帯域バンドパスフィルターで、透過率最大98%、帯域外を最大光学濃度(OD)10まで遮断できる点です。量子通信や量子コンピューターなどで必要な高い波長選択性を国内で入手しやすくなります。

ULTRAシリーズは、250nm〜13マイクロメートル(µm)の広い波長域をカバーするバンドパスフィルター、超狭帯域バンドパスフィルター、ノッチフィルターで構成されます。バンドパス品は最大99%透過とOD10のブロッキング性能を持ち、量子通信での信号光と環境光の分離や、単一光子源からの信号抽出など、量子光学実験のノイズ低減に活用が想定されています。

0.1nmクラスの超狭帯域品は、1550nm単一周波数レーザーのスペクトル純度向上や、ルビジウム/セシウム原子のD線(780/795/852nm)周辺の精密制御など、原子を使う量子センシング・計測での利用を見込みます。ノッチフィルターはOD8クラスで特定波長だけを深く遮断し、量子もつれ光源や固体量子光源で問題となる励起レーザーの背景雑音を抑える用途が想定されています。

これらのフィルターは、蛍光顕微鏡、フローサイトメトリー、DNAシーケンシング、LIDAR、ラマン分光など既存フォトニクス分野の高性能化にもつながると見られます。今後、日本での量子技術・精密計測の研究開発投資が続く中で、国内調達可能な高性能フィルターが実験系の高度化や装置の国産化を後押しするかが注目されます。

【商品情報】

Alluxa ULTRAシリーズ製品情報

https://www.symphotony.com/manufacturers/alluxa/

source: PR TIMES

Share.