岐阜県高山市の冬の風物詩である正月飾り「花もち」の製作が、2025年12月上旬に最盛期を迎えています。市内江名子町の「飛騨の花もち組合高山工房」では、11月中旬から作業を開始し、数日~1週間ほど乾燥させたのち、市内の朝市や旅館・ホテルに加え、東京・大阪・名古屋の市場にも出荷しています。
花もちは、木の株から出た枝に紅白の餅を巻きつけて花に見立てた縁起物で、雪深い飛騨地域で冬の間も「満開の花」を楽しむ工夫として受け継がれてきました。工房では地元農家の女性たちが、もち米をつき、食紅で色付けした餅を細長く切り、枝にバランスよく巻き付ける作業を手作業で続けています。サイズは高さ約15センチから3メートル前後まであり、一般的な家庭用は30センチほどとされています。
起源は、農耕の神にささげて豊作を前祝いする「予祝儀礼(よしゅくぎれい)」が飛騨に伝わり、江戸時代には正月の縁起物として定着したと考えられています。今年はクマの出没で山奥へ材料を採りに行きにくいことや燃料費の高騰が課題となっていますが、工房では「新しい年の豊作と家族の健康を祈る」思いで製作を続けています。
花もちは正月後もひな祭り頃まで飾られ、最後は枝から餅を外して油で揚げ、「雛あられ」として食べる習慣も残っています。今後も、県内外への出荷を通じて、観光客や都市部の消費者に飛騨の冬の文化を伝える役割が一層高まると見込まれます。地域の人口減少や原材料確保の課題を抱えつつも、伝統行事としてどのように継承・発展させていくかが今後の焦点となりそうです。
【関連情報:問い合わせ先】
高山市役所 広報公聴課 岐阜県高山市花岡町2-18 電話0577-35-3134
飛騨の花もち組合高山工房 電話0577-33-6478
source: PR TIMES
