2025年9月10日に刊行された住田祐さんの歴史小説『白鷺立つ』(文藝春秋、税込1760円、304ページ)が、第174回直木三十五賞の候補作に選ばれました。松本清張賞の受賞作が直木賞候補となるのは、2004年刊行の山本兼一さん『火天の城』以来で、約21年ぶりです。選考会は2026年1月14日(木)に東京都内で実施されます。
『白鷺立つ』は、比叡山延暦寺を舞台に、失敗すれば死に至るとされる荒行「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」に挑む二人の僧侶を描いた作品です。天明期の大飢饉後という歴史的背景のもと、師弟の「やんごとなき秘密」と、歴史に名を残そうとする葛藤を軸に物語が展開します。歴史小説でありながら、修行の過酷さや人間ドラマの緊張感が「スリリングで面白い」と書店員から支持を集めています。
1983年生まれの住田さんにとって、本作は第32回松本清張賞を受賞したデビュー作です。デビュー作での直木賞候補入りは、逢坂冬馬さん『同志少女よ、敵を撃て』以来のケースとなります。著者は今回のノミネートについて「まさか候補作に選ばれるとは思っていませんでした」と驚きを示しつつ、「今後も“行不退”の一念で書いていきたい」と抱負を述べています。
今後は、直木賞の発表に向けて知名度の一層の向上や販売の伸長が見込まれます。結果次第では受賞作としてロングセラー化する可能性もあり、歴史小説ジャンルや新人作家への注目度が高まるかどうかが焦点となります。
【書籍情報】
書名『白鷺立つ』
著者 住田祐
出版社 株式会社文藝春秋
発売日 2025年9月10日
書誌URL https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163920146
source: PR TIMES
