2025年10月24日に発売された葉真中顕さんの長編小説『家族』が、第174回直木三十五賞の候補作に選出されました。選考会は2026年1月14日(水)に東京都内で実施され、候補作の中から受賞作が決定します。単行本は税込1980円、320ページで、出版社は文藝春秋です。
『家族』は、平成後期に発覚し全国の注目を集めた「尼崎連続変死事件」を下敷きにしたクライムエンターテインメントです。2011年11月3日に裸の女性が交番に駆け込んだことを発端に、疑似家族内での監禁や暴行、「躾け」と称された支配行為、最終的に13人に及ぶ変死の連鎖が明らかになる構成で、家庭という安全な場が暴力と恐怖に覆われる過程を描きます。
葉真中さんは1976年生まれ。介護殺人を扱った『ロスト・ケア』で2013年にデビューし、『凍てつく太陽』で大藪春彦賞、日本推理作家協会賞、『灼熱』で渡辺淳一文学賞を受賞するなど、受賞歴と映像化実績が多い作家です。今作は初の直木賞候補作であり、著者は「現実の事件に頼らず、小説である必然性を問う試みだった」と位置付けています。
直木賞は大衆文学を対象とする日本有数の文学賞で、受賞作は映像化や増刷につながることが多く、市場への影響も大きいとされています。『家族』は実在事件をモチーフにしつつ、支配と依存、家族と愛の境界を問う内容で、受賞の行方だけでなく読者や書店での受け止め方にも注目が集まりそうです。結果は選考会当日に発表される見通しです。
【書籍情報】
書名:家族
著者:葉真中顕
定価:1980円(税込)
判型:四六判・上製・320ページ
【関連情報:作品詳細】
書誌詳細ページ https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163920306
source: PR TIMES
