人的資本経営やジョブ型などの人事制度は、事業の価値創造構造に合致した場合にのみ効果を発揮することが、33.8万人・980社の行動データ分析から示されました。分析では、制度の巧拙よりも「内部完結型」と「外部協働型」という事業構造の違いが、制度の成果を分ける決定要因であると結論づけています。

レポートによると、多くの人事制度は「人材投資 → 能力 → 組織能力 → 業績」という因果が自社内で閉じる「内部完結型」を前提に設計されています。一方、日本の主要産業では、建設、住宅設備、建材、SI、物流、保守など、最終的な価値決定がチャネルや施工、現場など外部主体に依存する「外部協働型」事業が多数を占めていました。このため、人材投資を行っても成果を左右する決定的な行動が自社外に存在し、人事制度だけでは業績との因果が途切れやすいという構造的課題が明らかになったとしています。

こうした外部協働型の領域で人事制度を機能させるには、協働プロセス設計や専門職能の開発、判断基準の共有など「別レイヤーの協働設計」が不可欠とされます。今後は、制度そのものの優劣よりも、自社事業がどの構造に属するかを見極め、内部・外部KPIの設計やパートナーとの関係設計を含めた全体構造の再設計が、人的資本経営の成否を左右すると見込まれます。

【レポート情報】

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リクエスト株式会社 OrgLogLab研究センター・人的資本開発プランニングセンター

source: PR TIMES

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