東日本大震災の伝承活動を調べた「2024年東日本大震災伝承調査報告書」が、12月10日にWEBで公開されました。震災学習プログラム提供団体の96%、震災伝承施設の69%が活動継続に不安を抱えているほか、東北39施設(閉館含む)の来訪者数が2023年から2024年で減少に転じ、2024年に約220万人が訪れた広島市平和記念資料館1館の来館者数を下回る現状が示されています。

報告書は本文148ページで、発災から14年間の伝承団体・施設数と来訪数の推移を4つのフェーズに整理し、年別・月別グラフを掲載しています。伝承の担い手については、後世への継続に特に重要と考える人材として、団体・施設ともに「語り部」が最多回答となりました。一方、岩手・宮城・福島の伝承館運営予算を比較すると、宮城県は施設運営費を含まないため単純比較はできないものの、宮城と福島で10.4倍、宮城と岩手で3倍の予算差も確認されています。

報告書は、2011年以降の復興基本方針における「教訓継承事業」の位置づけや、国の予算化の経緯も整理し、東北発の防災教育と伝承の意義を改めて提示しています。今後は2025年12月までの来訪状況を新たに調査し、2026年2月に追加報告を公開する予定で、南海トラフ地震など巨大災害のリスクが指摘される中、限られた予算と人材でいかに伝承を持続させるかが問われそうです。

【資料情報】

2024年東日本大震災伝承調査報告書

掲載サイト https://311mn.org/info76

source: PR TIMES

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