インターステラテクノロジズは2025年12月22日、東京科学大学・岩手大学・マイクロウェーブファクトリーと、複数衛星を協調動作させて高利得アレーアンテナ化する地上原理実験に成功したと発表しました。複数台の模擬衛星を用い、スマートフォンで使われる周波数帯の電波を送受信できたとしています。成果は2026年2月15~19日に米国で開かれる国際会議「IEEE ISSCC」で発表予定です。
狙いは、衛星とスマホが直接つながるD2D(Direct-to-Device)衛星通信の基盤技術づくりです。同社は衛星同士が位置や姿勢を制御して飛ぶフォーメーションフライトを前提に、1万~10万機規模の超々小型衛星を単一の巨大アンテナとして機能させる構想を掲げます。アレーアンテナは多数の素子の信号を合成して受信感度や送信強度を高める方式ですが、本構想では素子間を配線でなく無線で連携させる必要があり、動作タイミングの同期など新しい統合技術が課題でした。研究ではこの方式を分散アンテナシステム(DAS)と区別し「非結線型フェーズドアレイアンテナ」と位置づけ、衛星間情報伝送やタイミング調整を検討しつつ、超々小型衛星に搭載可能な信号処理アナログ集積回路とアンテナを試作しました。
今後はアンテナ性能と信頼性の向上、衛星数の拡大を見据えたスケールアップの検証が焦点となり、D2D対応の次世代高速通信衛星の実装に向けた要素技術の積み上げが進む見通しです。
【学会情報】
IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)
2026年2月15~19日、米国
公式サイト https://www.isscc.org/
source: PR TIMES
