米Imagry(イマジリー)と豊田通商は12月23日、日本における自動運転公共交通システム(APTS)の実証実験に向けて協業に合意しました。L4対応の自動運転バスを用い、ソフトウェア・ハードウェアと運用支援を含めた次世代公共交通の実現性を公道で検証します。

背景には、国内のバス運転手が必要人員の約20%不足している状況があります。公益社団法人日本バス協会の推計では、2030年度に不足数が約3万6,000人まで拡大する可能性が示されています。両社は、運転手不足下でも車両数や運行エリア、運行本数、運行時間の拡大につなげる手段として自動運転の活用を想定します。

実証で用いる車両は全長6.9mの電動eVersum midi-busで、定員は最大38人(車いす利用者1人を含む場合は32人)です。自動運転システムの搭載・統合はバス製造工場の標準的な製造工程の一部として行い、公共交通事業者が即時運行できる「完全統合型バス」としての提供を見据えます。ImagryはHDマップ(高精度地図)を使わないビジョンベース方式を特徴とし、2019年以降に米国、ドイツ、日本、イスラエルで公道導入実績があるとしています。

運行は既存の公共交通事業者(PTO)のサービスエリアに整合するルートを設定し、バス停を設けたうえで一般車両が混在する公道で実施します。信号機や道路標示など多様な環境条件での安全性・信頼性を確認し、全国のPTOが現地で体験できる機会も設ける計画です。実証が進めば、将来的な認証取得を視野に国内の自治体やPTOへの展開が検討され、持続可能な公共交通の選択肢として普及するかが焦点になります。

PRTIMES

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