岡山大学病院は、前立腺がんに対する密封小線源療法(ヨウ素125シード永久挿入)について、2004年から約20年間に治療した648人の長期成績を整理し、治療後10年のがん特異的生存率(前立腺がんで死亡しない割合)が99%だったとしています。治療後10年時点で9割以上の患者でPSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)の再上昇がない点も示されました。密封小線源療法は、放射線を出す小さな線源(シード)を前立腺内に留置して照射を続ける治療で、外科手術と比べ身体への負担が小さいとされます。今回のデータは、長期にわたり有効性と安全性を裏付ける材料となります。一方、対象は単一施設の治療経験に基づく整理であり、患者のリスク分類など条件の違いによって成績は変わり得ます。今後は、MRIなど画像技術の進歩を背景に、病変部のみを狙う局所治療(フォーカルセラピー/部分小線源治療)へ応用し、低侵襲化と副作用低減を進める方針です。
