京都大学大学院情報学研究科の物理統計学分野(梅野健教授)は、国土地理院のGNSS観測網「GEONET」の準リアルタイムデータを用い、データ取得から約10〜15分後に大地震の前兆とされる電離圏と地殻変動の異常検知結果を表示する「準リアルタイム大地震発生異常検知システム(β版)」を開発しました。2025年12月20日、東京・品川で開かれた日本地震予知学会学術講演会で概要を示しています。解析は相関解析を中核に据え、全国規模のデータでも短時間処理を狙う設計です。検証例として、2024年1月1日の能登半島地震前後で太陽フレア由来の電離圏異常やMSTID(中規模伝搬性電離圏擾乱)を捉えたとし、地殻変動の5分間隔解析は公開データ(NGL 5min final)と測位結果がほぼ一致したとしています。今後は学内観測(吉田キャンパス、潮岬)や共同研究先の観測網を加えてデータを拡充し、2026年以降に24時間体制の共同検証とアラート発出の実用化を目指しますが、リアルタイム測位の精度向上が課題だとしています。
