企業の生成AI利用を検知・統制するAIガバナンス基盤「Stena AI」を提供する株式会社ChillStack(東京都渋谷区、代表取締役CEO:伊東道明)が、日本経済新聞社主催の「2025年日経優秀製品・サービス賞」でスタートアップ部門賞を受賞しました。同賞は年1回実施で今回が第44回となり、候補は公募ではなく日本経済新聞社が独自に選定します。受賞理由として同社は、国の考え方として掲げられる「Security for AI(安全なAI活用のための防御)」をシステムとして具現化し、安全なAI活用の基盤づくりに資する公益性が評価されたと説明しています。
生成AIの業務利用が広がる一方で、誤って機微情報を入力してしまう情報漏洩、著作権などの知的財産侵害、偽情報の拡散といったリスクが課題です。さらに、生成AIによりサイバー攻撃の高度化や実行の容易化が進み、企業のセキュリティ対策が追いつきにくい状況も指摘されています。ChillStackはこうした背景について、ガートナー ジャパンの調査(2025年10月28日発表)や総務省「令和7年版 情報通信白書」を踏まえ、生成AI時代の“守り”の基盤が必要だとしています。
Stena AIは、社内でのLLM(大規模言語モデル)利用における不正利用やポリシー違反を自動検知し、リスクのあるプロンプト送信などを即時に防ぐことで漏洩や不適切利用の低減を狙う仕組みです。リスクは「機微情報の送受信」「システム内部での情報漏洩」「不正なシステム操作」「LLMの悪用・不正利用」「意図しない結果の生成」の5分類で多重チェックするとしています。
運用面では「データは残さない、学習させない、国外に出さない」を掲げ、会話内容をサーバーに保存せず学習データにも使わない設計とし、ローカルLLMにも対応して国内で処理を完結させる運用も可能だとしています。一方で、会話内容を特定できない形でアクセスログなどのメタ情報は保持し、利用状況の分析に活用すると説明します。加えて、業界・企業ごとのガイドラインに合わせ、標準モデルに社内規定や業界用語に特化した「独自検知モデル」を追加開発・実装できる点も特徴に挙げています。
今後は、企業のAI活用が「人間とAIの協働」から「AIによる自律実行」へ進むにつれて、入力制御だけでなく業務プロセス全体での統制が重要になります。AI活用の拡大と規制・指針整備の進展に合わせ、ガバナンス基盤がどこまで運用負荷を下げつつ実効性を高められるかが普及の鍵になりそうです。
