ロバート・ウォルターズ・ジャパンの調査で、従業員の昇給を「見込む/検討中」とした企業は全役職平均で54.8%となり、前年の58.7%から3.9ポイント低下しました。一方、昇給を行う企業の想定昇給率は「1〜5%」が61.6%で最多でした。調査は2026年10月、国内外資系を含む日本法人414社と、国内で働く会社員4,566人を対象に実施しています。昇給を予定しない理由では「既に競争力の高い給与を提供している」が50.3%と最も多く、賃金水準の維持を優先する姿勢がうかがえます。人材定着策では企業側は「キャリアアップの機会増加」(50.8%)を重視する一方、転職希望者の転職理由は「給与アップしたい」(52.2%)が最多で、「キャリアアップしたい」(50.9%)を上回り、企業施策と候補者ニーズの差が数値で示されました。転職活動が活発な業界はホスピタリティ、小売、自動車の順で、働き方や処遇、新技術に関わる機会が判断材料になっているといいます。職場でのAI利用も急増し、「毎日使う」は24.5%から60.7%へ上昇しました。転職に「自信がある」と答えた人ほどAI活用度が高い傾向も確認され、AIスキルが市場価値の認識に影響している可能性があります。今後は、賃上げ余地が限られる企業ほど、キャリア設計支援と報酬設計の整合、AI活用を前提にした業務設計が、人材流出を抑える鍵になりそうです。

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