嶋津輝さんの小説『カフェーの帰り道』(東京創元社刊)が第174回直木賞を受賞しました。作品は東京・上野の「カフェー」を舞台に、大正から昭和にかけて女給として働いた女性たちの人生を市井の視点で描きます。単行本は2025年11月12日発売で、定価は1,870円(税込)です。

物語の中心となるのは、食堂や喫茶も兼ねた「カフェー西行」で働くタイ子、セイ、美登里、園子らです。当時の「女給」は飲食店で客の応対を担う職業で、同作では彼女たちが朗らかに働きながらも、それぞれの道を見つけて店を去っていく過程が描かれます。時代の空気の移り変わりと生活者の感情を重ね、「百年前のわたしたちの物語」として位置づけられています。

著者の嶋津さんは1969年東京都生まれで、2016年に「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞し書籍デビューしました。今回の受賞を機に、歴史の表舞台ではなく、都市の片隅で働く女性たちを描く作品への関心が広がる可能性があり、書店での展開や読者層の拡大が注目されます。

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