東京理科大学などの共同研究グループは2026年2月3日、二ケイ化モリブデン(MoSi2)が外部磁場を使わずに横型熱電変換を起こす材料であることを示し、室温で横型熱電能8 μV/Kを測定した。国際学術誌「Communications Materials」には2025年12月29日にオンライン掲載され、DOIは10.1038/s43246-025-01050-4。
横型熱電変換は、温度勾配に対して直交方向に起電力が生じる方式で、p型・n型接合を並べる縦型(π型)で課題になりやすい接合部の抵抗損失や熱損失の低減が期待される。一方、従来の候補の多くはネルンスト効果を用い、動作に外部磁場が必要だったため、磁場不要で成立する材料の選択肢が限られていた。
研究ではMoSi2単結晶を作製し、結晶軸方向の熱電能を測定した結果、a軸で正、c軸で負という軸依存の伝導極性を確認した。第一原理計算により電子バンド構造とフェルミ面(α/β)を解析し、混合次元導体としての性質が熱電能の増大に関与する可能性を検討した。あわせて横型熱電能測定で温度勾配に垂直方向の起電力発生を確認し、面内熱電能は室温で約7 μV/K(比較対象のWSi2は約3 μV/K)だった。
MoSi2は工業材料として広く利用されてきたことから、既存材料の新用途として横型熱電モジュールや熱流センサーへの展開が見込まれる。今後は、実装形態での出力向上や温度域拡大、モジュール化時の性能評価が焦点となる。
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正式表記参照URL:https://www.tus.ac.jp/today/archive/20260130_0130.html
