国立大学法人東京大学と株式会社ちとせ研究所は、モノクローナル抗体(mAb)製造の培養工程で、抗体濃度と複数の不純物濃度を広範な培養条件で精度よく予測できる新しい数理モデルを構築しました。250mL小型培養槽12個の自動培養装置でCHO-MK細胞を29条件で培養し、得たデータを用いました。

モデルは、物質収支に基づく物理モデルに、反応速度定数を推定するデータ駆動型モデルを組み合わせたハイブリッド型です。撹拌速度や溶存酸素濃度など6つの設計変数を扱い、別の15条件で検証したところ、12条件で高い予測精度が確認されたとしています。

培養工程ではmAbのほか、HCP(宿主細胞由来タンパク質)やDNA、電荷異性体などの不純物が生じ、後工程の精製がコストの中心になりやすい点が課題です。今回のモデルにより、不純物基準を満たすデザインスペース(許容運転範囲)や、mAb濃度を最大化する最適条件をシミュレーションで同定できるとしています。成果は学術誌「AIChE Journal」オンライン版に2026年2月12日(日本時間)公開で、DOIは10.1002/aic.70231です。

今後は自動化実験と数理モデリングの統合をさらに進め、精製工程まで含めた全体プロセス設計へ拡張する方針です。プロセス開発のデジタル化が進めば、設計の手戻りを減らし、新薬の上市を早める支援技術としての活用が見込まれます。

【関連リンク】
論文DOI(詳細URL): https://doi.org/10.1002/aic.70231
東京大学: https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html
ちとせグループ: https://chitose-bio.com/jp

PRTIMES

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