サウジアラビアのRegional Voluntary Carbon Market Company(VCM)は、丸紅・サウジ・インベストメント・カンパニーと炭素取引に関する覚書を結び、さらにClimate Bridge Internationalと提携しました。2024年11月に同国初のボランタリー・カーボンクレジット取引所を稼働させたVCMが、日本を含むアジアでの事業連携と市場展開を一段と加速させる形です。

VCMと丸紅・サウジ・インベストメント・カンパニーは、サウジの「ビジョン2030」と整合した低炭素経済への移行を掲げ、カーボンクレジット取引と再生可能エネルギーの実務経験を組み合わせて、透明性と信頼性を備えた炭素市場エコシステムの構築を目指します。VCMは公共投資基金(PIF)80%、サウジ・タダウル・グループ20%出資で2022年に設立されており、既にオークションや見積依頼(RFQ)、報告取引などの機能を持つ取引所インフラを整えています。

一方、Climate Bridge Internationalはアドバイザリーパートナーとして参画し、世界各地で次世代型カーボンプロジェクトの開発を支援します。技術的に堅牢で投資可能な案件を増やし、主要レジストリと連携したデータ・価格発見機能を通じて、中東・アジアのプロジェクトに明確な価格シグナルを送る狙いです。民間主導のボランタリー・カーボン・オフセット市場は、2020年の約20億ドルから2050年には約2,500億ドル規模に成長すると予測されており、VCMはMENAとアジアの需給を結ぶハブとして存在感を高めようとしています。

今後はイスラム金融に対応した専用インフラの開発や、企業向けアドバイザリーを通じ、サウジとアジア企業の脱炭素ニーズを取り込みつつ、市場の信頼性確保と規模拡大の両立が実現できるかが焦点となります。

source: PR TIMES

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