12月10日の世界人権デーにあわせ、企業の鉱物調達と人権課題をテーマにしたセミナー「企業の責任ある鉱物調達の新潮流 ― NGOとの連携の可能性」が大阪市淀川区で開催されます。紛争鉱物やレアメタルなど、スマートフォンや自動車に不可欠な資源の調達現場で起きる児童労働や武装勢力の資金源化といった問題を、企業とNGO、法律専門家が多角的に議論します。会場は貸会議室ラミL-site 4Fで、企業の調達・サステナビリティ担当者らの参加が想定されています。

共催は、アフリカやアジアで紛争被害者支援に取り組む認定NPO法人テラ・ルネッサンスと、ビジネスと人権を専門とする合同会社継青堂です。登壇者にはテラ・ルネッサンスの小川真吾理事のほか、日東電工株式会社のコンプライアンス担当者、継青堂代表の樋口利紀氏、ビジネスと人権分野で「東洋経済ベスト弁護士2025」に選出された佐藤暁子弁護士が名を連ね、現地事情から企業実務、法的リスクまでを解説します。

背景には、欧米を中心に進む人権デューデリジェンス(人権への悪影響を事前に把握し予防する取り組み)義務化の流れがあります。EUでは2024年前後から企業に人権・環境リスクの把握と情報開示を求める制度が相次いでおり、日本企業もサプライチェーン上の人権侵害が判明した場合、取引停止やブランド毀損といった影響を受けるおそれがあります。その一方で、紛争地域を一律に「調達禁止」とすると、住民の生計手段を奪う可能性も指摘されており、現地NGOとの協働による「紛争に加担しない調達」のあり方が模索されています。

今回のセミナーでは、コンゴ民主共和国などアフリカの紛争鉱物産地の事例を踏まえ、企業とNGOがどのように情報共有や現場調査を行い、責任ある調達方針や契約条項、監査の仕組みに反映できるかを検討します。主催団体によると、参加企業からの具体的な相談や事例共有を通じて、日本企業の取り組みを一段進めるきっかけにしたい考えです。

世界人権デーは、1948年に国連総会で世界人権宣言が採択されたことを記念する日です。企業活動と人権尊重をめぐる国際社会の要請が高まるなか、今回のような企業とNGOの協働モデルが広がれば、サプライチェーン全体での人権リスク低減と、資源産地コミュニティの安定的な発展の両立につながる可能性があります。今後は、セミナーでの議論を踏まえたガイドライン作成や、産地訪問を組み込んだ共同プロジェクトなど、具体的な取り組みへの発展が注目されます。

【イベント情報】

責任ある鉱物調達セミナー「企業の責任ある鉱物調達の新潮流 ― NGOとの連携の可能性」

会場:貸会議室ラミL-site 4F(大阪市淀川区宮原3-3-3)

日時:2025年12月10日 14:00~

主催・共催:認定NPO法人テラ・ルネッサンス/合同会社継青堂

詳細:責任ある鉱物調達セミナーの詳細 https://keiseido.co.jp/event-20251210

source: PR TIMES

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