三重県熊野市新鹿町の有限会社魚作商店は、創業100年以上の干物づくりを続ける一方、干物市場がこの10年で約40%縮小する環境変化を受け、無添加・減塩商品や加工工程の見直しを進めています。背景には若年層の魚・干物離れと、塩分摂取への意識の高まりがあります。
同社は魚種や個体差で脂のりや水分量が異なる点に着目し、塩加減や加工時間を一律にせず「一尾一尾の状態に合わせる」製造を徹底。サンマでは内臓を取らず塩で揉み込む「丸干し揉み塩製法」を採用し、水分を調整して生臭さを抑え、旨みを凝縮させるとしています。
併せて熊野市特産の希少柑橘「新姫(にいひめ)」を使った無添加・減塩干物を展開し、塩分を同社従来品比で約半分に抑える製法として特許(第7555531号)を取得しました。大骨を取り除く工程も取り入れ、焼きやすさと食べやすさに配慮したと説明しています。三代目専務が幼少期に骨が喉に詰まった経験から「安心して食べられる」干物を志向したことも開発の背景です。今後は店頭とオンライン販売を軸に、減塩ニーズと魚食回帰の需要を取り込み、干物の利用機会拡大を目指す考えです。
