政府・与党がふるさと納税の税控除額に年間上限を設ける方向で検討していることについて、一般社団法人新経済連盟(東京都港区、代表理事・三木谷浩史)は2025年12月10日、制度への上限設定に明確に反対する緊急コメントを公表しました。検討されている上限額の具体的な水準は明らかになっていませんが、新経連は「上限を導入すれば、上限超の寄付インセンティブが大きく低下し、地方自治体の自主財源を直撃する」と強い懸念を示しています。

新経連は、本年9月10日に公表した「2026年度税制改正提言」で、ふるさと納税への「過度な制限」に反対する立場を表明済みです。その理由として、寄付金が各自治体の独自財源として地域に還流することで、地方創生策を巡る健全な競争が生まれている点を挙げています。返礼品競争などのゆがみは是正すべきとしつつも、「制度そのものを縮小させる方向の規制強化は避けるべきだ」との考えです。

また、高所得者ほど控除メリットが大きいとの指摘を理由に上限導入を正当化する議論について、新経連は「都市部で成功し多額の納税力を持つ個人が、自らの意思で地方を支援する再分配機能として評価すべきだ」と反論しました。上限設定でこのルートを狭めれば、「民による自主的な社会貢献の機運を削ぎ、『官から民へ』という方針とも整合しない」とし、制度設計は公平性の議論と地方の自立支援のバランスを取るべきだと指摘しています。

今後、政府・与党による税制改正論議が本格化する中で、ふるさと納税を巡る議論は、格差是正、公平な税負担、地方財政の自立という複数の論点を同時に問う展開となりそうです。新経連の反対表明が、制度の見直し範囲や上限水準の決定プロセスにどこまで影響を与えるかが焦点となります。

【関連情報:提言・コメント】

2026年度税制改正提言(新経済連盟)

ふるさと納税の税控除額上限設定の検討に対する緊急コメント(新経済連盟)

source: PR TIMES

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