国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、熱帯林と人権への企業の取り組みを採点した「森林&人権方針ランキング2025」を公表し、大手消費財企業10社のうち合格ラインとされるC評価に達したのはユニリーバ(C+)のみだったと明らかにしました。日本企業では花王がD+、日清食品がD−で、依然として全社がD台以下にとどまっています。
ランキングは2025年10〜11月、日清食品、花王、ユニリーバ、ネスレ、ペプシコなど10社を対象に、森林減少禁止や泥炭地開発禁止、搾取禁止(NDPE)方針、人権保護、サプライチェーンの透明性など12項目を分析したものです。NDPEは「森林破壊をしない・泥炭地を開発しない・搾取をしない」という国際的な最低基準を指します。
ユニリーバはNDPE方針とサプライチェーンの透明性、苦情処理の開示で明確な目標を掲げ、人権擁護者(Human Rights Defenders)保護の方針も打ち出すなど相対的に高い評価となりました。花王もNDPE方針を森林リスク産品全般の供給業者と企業グループ全体に適用し、パーム油と紙パルプで2025年までに「森林破壊ゼロ、土地転換ゼロ」を目指す姿勢が評価されています。
一方、モンデリーズはF評価で最下位となり、人権擁護者保護への明確な公約や苦情追跡システムの公開がないなど、ほぼ全ての項目で低評価でした。日清食品は人権擁護者への暴力ゼロトレランスを初めて明記し、サプライヤー行動規範をグループ全体に広げたことで最下位グループから脱したものの、NDPE方針は「支持」表明にとどまり、森林・炭素蓄積地の保全などの核心要素は十分に盛り込まれていないとされています。
RANは、欧州連合の森林破壊防止法(EUDR)施行を控え、日本企業を含むグローバル企業は単なる宣言ではなく、サプライチェーン全体で森林伐採と土地権侵害を実際に止める仕組みを早急に構築する必要があると指摘。今後、規制対応と投資家・消費者からの監視強化を背景に、企業の方針と実行力の「格差」が一層厳しく問われていくとみられます。
source: PR TIMES
