2025年11月の企業倒産は796件となり、前年同月より4.6%少ない一方で、1~11月累計は9380件と前年同期比3.6%増でした。このペースが続けば、年間倒産件数は12年ぶりに1万件を超える見通しです。負債総額は788億8300万円で前年同月比48.2%減と小口化しており、負債5000万円未満の倒産が506件と唯一増加しました。
業種別では小売業の倒産が175件と全体の22.0%を占め、約4年ぶりに最多となりました。サービス業は172件で22.2%減と抑制されています。不況による「販売不振」などが原因の「不況型倒産」は666件で全体の83.7%と高水準が続きます。地域別では近畿が191件と15.1%減、中国も35.3%減でしたが、関東は285件と増加し、東北も31.6%増と地域差が鮮明です。
特徴的なのは人手不足や物価高を背景とした倒産です。「人手不足倒産」は11月31件、1~11月累計390件と過去最多ペースで、通年400件超えがほぼ確実とみられます。「物価高倒産」は11月74件、累計879件で、過去最多だった2024年(通年933件)を上回る可能性があります。また、コロナ禍の実質無利子・無担保融資後の「ゼロゼロ融資後倒産」は11月43件と7カ月連続で前年を下回るものの、累計584件と依然多い状況です。
今後は建設業倒産が12年ぶりの年間2000件超えに近づいていることや、飲食店倒産が初の900件超えペースである点が懸念材料です。金利動向や物価、為替に加え、人手不足の長期化が中小企業の収益を圧迫しており、倒産件数は当面、緩やかな増加傾向が続くとみられます。住宅ローン減税延長など政策対応がどこまで下支えするかが注目されます。
source: PR TIMES
