台湾では、AI(人工知能)関連需要の拡大を背景に電子部材価格が上昇する一方、空港や商業施設開発、外食産業の人員拡大など、インフラ・サービス両面で投資が加速しています。南亜塑膠工業は12月20日出荷分から銅張積層板(CCL)とプリプレグ基板価格を8%引き上げたとされ、銅価格や加工費の上昇に加え、電子材料用ガラスクロス不足が要因と説明されています。AIデータセンター向け部品需要の急増により、世界的に電子材料の供給逼迫と値上げが広がっている状況です。

交通インフラでは、桃園国際空港第3ターミナル北側出発ロビーが12月1日に試験運用を開始し、年内の正式運用後は年間旅客処理能力が約580万人分増加します。都市開発面では、台中市で建設中の聯聚中維大廈(通称クマ・タワー)の外装に、大日本印刷の焼付印刷アルミパネル「Artellion」が台湾で初採用され、木目調と金属調の意匠で高層複合施設の景観形成に寄与します。

半導体分野では、TSMCの2ナノ製造プロセス機密情報不正取得事件を巡り、東京エレクトロン台湾が国家安全法違反などで追加起訴され、計1億2000万台湾元の罰金が求刑されました。法人が国安法違反で起訴されるのは初の事例で、先端技術の情報管理強化に波及するとみられます。サービス産業では、レストランチェーン最大手・王品集団が2026年に40~50店の新規出店を計画し、1200人超を募集すると表明しました。初任給は3%以上引き上げ、店長の想定年収は200万台湾元(約990万円)とし、他の大手外食企業も900~1000人規模の採用を予定するなど、人手不足感を背景に賃上げ競争が強まっています。

これらの動きは、AI関連投資や観光・消費回復を追い風に、素材・インフラ・サービス各分野で台湾経済の成長期待が高まる一方、部材価格上昇や機密保護コストの増加といった企業負担も増す構図を浮き彫りにしています。今後は、サプライチェーンの再構築や人材確保策が、台湾に進出する日系企業を含めた事業戦略の重要な判断材料となりそうです。

source: PR TIMES

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