吉沢亮さん主演、呉美保監督の映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024年9月公開)が、劇場外で行われる市民上映会で全国的な広がりを見せています。製作幹事の株式会社ワンダーラボラトリーによると、2026年3月までの有料上映(鑑賞料1,200円)で全国8万5千人の動員を見込み、今後3年間で累計20万人の動員を目標に掲げています。

同作は劇場公開終了後、各都道府県の聴覚障害者協会が中心となって上映推進プロジェクトを立ち上げ、都道府県単位での展開が加速しました。協会側にとっては、ろう者や手話への理解を広げる啓発活動であると同時に、2025年11月に開催されたデフリンピック2025の周知にも活用されてきたとされます。長崎県、群馬県、宮城県などでは、地域ぐるみの「県民運動」のような形で上映会が拡大している点が特徴です。

上映は2025年2月に三重県津市で始まり、その後全国へ拡大しました。沖縄県久米島では、教育委員会や社会福祉協議会、商工会女性部、地元飲食店や子どもたちが運営に参加し、チケット収入から諸経費を除いた全額を赤い羽根共同募金に寄付するなど、地域の福祉活動とも連動しています。主催者の多くが「誰もが安心して暮らせる社会を考えるきっかけにしたい」と語っており、その思いが各地で共有されることで、上映の輪が広がっている状況です。

ワンダーラボラトリーは、認知症や介護、在宅医療など社会課題を扱う作品を、劇場公開後の非劇場展開を前提に企画してきました。全国で延べ3,000組超の上映主催者ネットワークを構築し、これまでに認知症を扱った『オレンジ・ランプ』(2023年公開)で2年間に14万人を動員、最終30万人を見込んでいます。シリーズ6作品累計では40万人を超える動員実績があり、公開から数年経っても各地で上映が続く「ロングラン型」の広がりが特徴とされています。

2024年度からは自治体向けに、1年間回数制限なく上映できる「サブスクリプション型上映」も開始し、すでに30以上の自治体が導入しました。自治体側では、認知症になっても暮らしやすいまちづくりや福祉啓発の新たな手段として評価されているといいます。今回の『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、きこえない・きこえにくい親を持つ聞こえる子ども「コーダ」の葛藤と成長、親子愛を描く作品として、聴覚障害や手話への理解を促す役割も期待されています。

今後は、既存の上映ネットワークと聴覚障害者団体の連携がどこまで広がるかが目安となりそうです。2026年3月までの8万5千人という見込み動員が達成されるかに加え、3年で20万人という長期目標を背景に、学校や自治体主催の学習・研修の場への導入がどの程度進むかが、社会的なインパクトを測る指標になりそうです。

【上映会情報】

つながる上映会Navi https://joueikai-navi.com

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』作品ページ https://joueikai-navi.com/movie/two-world/

source: PR TIMES

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