和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで、世界で初めてとされるエンペラーペンギンの人工授精による有精卵が確認されました。2025年7月27日〜31日にかけてオス1羽の精子をメス4羽へ複数回注入し、そのうち1羽が8月12日に産卵、8月31日の検卵で有精卵と判定されました。その後、9月6日の再検査で卵殻の異常と胚発生の停止が確認され、孵化には至っていません。

エンペラーペンギンは世界最大のペンギンで、飼育は世界でもアメリカ・中国・日本の3カ国に限られ、日本国内ではアドベンチャーワールドと名古屋港水族館の2園館のみです。同パークではこれまでに16羽のヒナが生まれていますが、すべて同じ両親由来で血統の偏りが課題でした。2009年から国内2園館間でのブリーディングローン(繁殖を目的とした相互貸し出し)を実施し、2019年には1羽ずつ血統交換するなど遺伝的多様性の確保を進めてきました。

しかし、自然繁殖では産卵しても無精卵に終わるペアが多く、限られた個体数の中で血統を広げるには人工授精技術の確立が不可欠とされています。アドベンチャーワールドは2024年からエンペラーペンギンで人工授精に挑戦しており、今回の有精卵確認は、将来の安定的な繁殖体制づくりに向けた重要なステップと位置づけられます。

今後は、自然繁殖と人工授精を併用しながら、受精から孵化、育雛まで一連の技術を高めることで、飼育下集団の遺伝的多様性維持と、南極の環境変化に直面する野生個体群の保全研究への貢献が期待されます。

【施設情報】

アドベンチャーワールド

和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399

定休日 不定休

営業時間 公式サイトにて案内あり

source: PR TIMES

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