熊本大学の研究グループは、血液が固まり始めるごく初期に生じる微量のトロンビン(初期トロンビン生成、ITG)を高感度に測る凝固検査「SMAT」を用い、心血管疾患患者771人の血液で抗凝固薬の影響や疾患別の凝固パターンを捉えられる可能性を示しました。DOAC(直接型経口抗凝固薬)使用者では2経路のITGが著明に低下し、ROC解析のAUCは0.86〜0.89でした。対象は熊本大学病院で心臓カテーテル検査を受けた入院患者で、抗凝固薬使用169人、未使用593人です。SMATは、凝固の入り口に関わる組織因子(TF)経路と、FVIIIa/FIXa経路を独立に評価し、従来のAPTT/PT(試験管内反応中心の検査)では見えにくい差を補う狙いがあります。抗凝固薬未使用群では、透析患者で両経路のITGが低下し、慢性腎臓病やがんではTF経路のみが特異的に低下する傾向が示されました。さらにTF経路のITGが低い患者は死亡率が高い傾向もみられ、予後指標への応用が論点になります。今後は、薬の効き過ぎ・効かなさ過ぎの評価や、出血・血栓リスクの個別化に向け、他集団での検証と臨床導入手順の整備が進む見通しです。
