順天堂大学と広島大学の研究グループは、可溶型ST2(sST2)だけを欠く遺伝子改変マウスを作り、体内で高濃度に維持されるsST2がIL-33シグナルを阻害して食物アレルギー反応を抑えることを、卵白アルブミン(OVA)を用いたマウスモデルで示しました。論文は2026年1月5日、PNASオンライン版に掲載されました。研究では、ST2には細胞表面で働く膜型(ST2L)と、IL-33を捕捉して作用を弱める可溶型(sST2)がある点に着目し、ST2Lは保ったままsST2のみ欠損させて役割を検証しました。sST2欠損マウスはOVA特異的IgE値が同程度でも下痢などの症状が早期から高頻度に起き、小腸で粘膜型マスト細胞(MMC9)や成熟マスト細胞の増加、脱顆粒率の上昇、2型サイトカイン(IL-4、IL-13など)とIL-33発現の増加が確認されました。一方、皮膚などの線維芽細胞が恒常的に大量のsST2を産生し、その量は骨髄由来マスト細胞系より10倍以上多いことも示され、主要産生源としての重要性が浮かびました。さらに、sST2を模倣するタンパク質ST2-Fcを事前投与すると、小腸マスト細胞の増加と脱顆粒、症状が抑えられました。今後は、sST2を選択的に増やす手法やIL-33経路を抑える分子の開発が、食物アレルギーの予防・治療につながる可能性があり、同マウスは感染症や腫瘍などIL-33が関与する病態の基礎研究にも活用が見込まれます。

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