京都大学医学部附属病院は2026年1月から、手指の外傷性末梢神経損傷患者を対象に、同種臍帯由来の間葉系細胞(MSC)を材料にバイオ3Dプリンタで作る「三次元神経導管」を移植する医師主導治験を開始します。移植後は36週間観察し、安全性と有効性を確認します。

末梢神経損傷では、健常な神経を採取して移植する自家神経移植が主流ですが、採取による負担が課題でした。人工神経も開発されている一方、一般的な普及には至っていないとされています。京大はこれまで自家細胞で作る三次元神経導管の医師主導治験で一定の結果を得たものの、組織採取の侵襲と製造待機時間が残っていました。今回、東大医科研附属病院の臍帯由来MSCを用い、同種でも免疫抑制剤なしで拒絶反応を起こしにくい可能性を、ラット研究(2024年)で確認したとしています。AMED支援の非臨床有効性・安全性試験(イヌ研究、2025年)を経て、治験計画届をPMDAに提出済みです。

治験製品は東大医科研で製造し京大病院へ搬送して移植します。対象は手関節遠位の断裂・欠損で受傷後6か月以内、18歳以上で人工神経・自家神経移植を希望しない人とされ、結果次第で同種細胞由来3D組織移植の選択肢拡大が見込まれます。

source: PR TIMES

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