医療AI推進機構(MAPI、東京都中央区)が参画した研究チームは、胸部X線画像の読影でAI(CAD)が病変候補をバウンディングボックス(枠)で示す表示が、放射線科医の視線の動きと読影行動に与える影響を定量評価した研究成果が国際誌「European Journal of Radiology Open」に掲載されたと発表しました。解析は胸部X線180例を対象に、放射線科医3名が枠表示の有無で各2回読影し、視線計測で比較しました。
手法は、症例を開くと枠が即時表示されるConcurrent Reader型とし、EyeTech VT3 Miniで視線を記録しました。読影時間、病変検出までの時間、病変注視時間、視線総移動距離、肺野カバー率(肺の領域をどれだけ見たかの割合)などを指標に解析しています。論文のDOIは10.1016/j.ejro.2026.100731です。
主な結果として、枠表示ありでは読影時間が延びた一方、病変へ最初に視線が向かうまでの時間は短縮しました。また、病変注視時間、視線移動距離、肺野カバー率が増加したとしています。CADが診断補助として有用である一方、読影プロセス自体を変え得るという指摘を、視覚探索行動の観点から裏づけるデータになったといえます。
研究チームは今後、診断精度だけでなく、AIが読影行動をどう変えるかを含めた評価が安全で適切な臨床実装に重要だとして、人とAIの相互作用に着目した検証を進める方針です。
【関連リンク】
論文掲載ページ(ScienceDirect):https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352047726000080
公式HP:https://mapi-jp.org
