順天堂大学の研究グループは、多施設前向きコホート「SONIC-HF」の高齢心不全患者435例(年齢中央値81歳)を解析し、横隔膜の厚さ低下(安静時<0.15cm)と肺活量低下(%FVC<80%)を同時に満たす「呼吸サルコペニア」が10.8%(47例)にみられ、退院後2年以内の全死亡が38.3%と高率だったと報告しました(非該当群15.5%)。追跡期間中の全死亡は78例(17.9%)で、呼吸サルコペニア群は生存曲線でも差がつきました(log-rank P<0.001)。さらに心不全の予後指標であるMAGGICリスクスコアと、重症度を反映する血液マーカーBNP(log変換)で調整しても、呼吸サルコペニアは全死亡と独立して関連し、死亡リスクは2.51倍(調整後HR 2.51、95%CI 1.40–4.50、P=0.002)でした。一方、「横隔膜厚の低下のみ」または「%FVCの低下のみ」では死亡との関連が示されず、呼吸筋量(横隔膜厚)と呼吸機能(%FVC)を組み合わせた評価が、心機能指標だけでは拾いにくい高リスク患者の層別化に役立つ可能性があります。研究成果はEuropean Journal of Preventive Cardiologyのオンライン版に2026年1月6日公開で、今後は臨床現場での測定導入や介入(呼吸リハビリなど)が予後改善につながるか、追加検証が焦点になりそうです。

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