英国の網膜疾患向け遺伝子治療企業Ikarovecは、VectorBuilderが開発する新規AAVカプシド技術について、世界独占のオプション契約を結び、中期加齢黄斑変性(中期AMD)向け候補「IKAR-003」への適用を進めます。評価後に独占ライセンスへ移行する想定で、IKAR-003の想定取引額は10億ドル超としています。 いつ:両社が契約締結を公表した時点で、どこ:グローバル、誰:IkarovecとVectorBuilder、何:独占的・世界オプション契約、なぜ:中期AMD治療の開発加速、どのように:新規AAVカプシド1種類を選定し臨床開発へつなげます。
契約は、VectorBuilderの新規AAVカプシド群のうち1種類を、Ikarovecが独占的に利用できる形を想定しています。AAVは遺伝子を細胞へ運ぶ「ウイルスベクター」の一種で、カプシドはその外殻に当たり、標的組織への届きやすさを左右します。今後、二重経路(dual-pathway)遺伝子治療としての追加評価を経て戦略的提携に進み、臨床開発と商業化はIkarovecが担う計画です。
IKAR-003は、低侵襲の硝子体内注射(眼球内の硝子体への注射)による投与を想定し、単回投与で視機能維持と進行阻止を狙います。作用コンセプトは神経保護と補体調節(補体=免疫反応に関わるタンパク質群の働きを調整)の組み合わせで、早期〜中期の段階で進行予防が重要な患者が、病院施設外の診療所などでも治療にアクセスしやすくなる可能性があるとしています。
中期AMDは承認治療がないとされ、放置すれば地理的萎縮(GA)や湿性AMDへ進行し、不可逆的な視力低下につながり得る点が課題です。VectorBuilderはAI搭載の「DeepCap」プラットフォームで眼科用AAVカプシドを設計し、非臨床試験で既存の臨床用カプシドより広範かつ強固な遺伝子導入(トランスダクション)を確認したと説明しています。
今後は、カプシド選定と追加評価の結果が、戦略的提携への移行時期やIKAR-003の臨床開発計画を左右する見通しです。中期AMDで未充足ニーズが大きい中、硝子体内投与での実用性と有効性・安全性データの積み上げが焦点になります。
