ウェルネス目的の国際・国内旅行は2023年に10億3,450万回に達し、2024~2029年は年平均9.1%成長が見込まれています。こうした需要拡大を背景に、トルコはハマム(伝統浴場)や温泉、沿岸リゾートでのリトリートを軸に、心身の回復を目的とする「整う旅」を訴求しています。旅行メディアMatador Networkが主催する「トラベル・アワード2025」では、同国が「ベスト・ウェルネス・デスティネーション」に選ばれたといいます。

特徴は、伝統文化と現代的な健康プログラムを組み合わせた点です。ハマムは蒸気浴で身体を温め、清浄と深いリラクゼーションにつながる体験として紹介され、イスタンブルなど各地に歴史的施設から現代型まで幅広く点在します。例としてゼイレク・チニリ・ハマムは、米誌『TIME』の「世界で最も素晴らしい場所100選」に挙げられた施設として言及されています。都市部や沿岸部では、マッサージやヨガ、呼吸療法、体重管理、アロマセラピー、海水療法などを組み合わせた滞在型プログラムも提供されているとします。

温泉分野では、資源量が世界第7位・欧州第1位に位置づけられる点を前面に出します。水温は20℃~110℃と幅があり、ミネラルを含む湯が補完療法として利用されてきた歴史があるとされます。アフヨンカラヒサール、ブルサ、デニズリのパムッカレは、歴史的な温泉地を結ぶ「European Route of Historic Thermal Towns」に含まれる地域として紹介されました。

さらに、イズミルやボドルム、アンタルヤなどエーゲ海・地中海沿岸では、温暖な気候とスローライフを生かした滞在を提案します。デジタル機器から距離を置く「クワイエットケーション(Quietcation)」をキーワードに、静かな環境での休養や海岸散歩など“マインドフルな時間”を推奨し、高級リゾートではタラソテラピー(海洋療法)やホリスティック・トリートメントも選択肢に挙げています。2024年の訪問客数は過去最高の6,226万人とされ、今後は受賞実績や多様な体験資源を足掛かりに、ウェルネス需要の取り込みが進むかが焦点です。

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