株式会社ハート出版は2026年1月14日、戦時中に国民学校で使われた国定音楽教科書『初等科音楽』の復刻版を発売します。初等科3〜6年用の全4冊を合本し、184ページで本体1500円(税別)、ISBNは978-4802402491です。戦後の占領政策で墨塗りや削除の対象となったとされる楽曲も含め、当時の掲載内容をそのまま収録します。

収録曲は国歌「君が代」から戦時唱歌まで幅広く、「紀元節」「天長節」「靖国神社」「日本海海戦」「水師営の会見」などが例として挙げられています。復刻の狙いは、当時の音楽教育がどのような世界観・価値観のもとで子どもに歌を教えていたかを確認できる資料として提示する点にあります。墨塗りは、戦後に特定の表現が教材から見えなくなる形で残った編集・検閲の痕跡を指します。

巻末解説は歌手で参議院議員の塩入清香(さや)氏が執筆し、日本の音楽が西洋音楽との融合を模索した過程や、戦後教育で「君が代」や唱歌がどう扱われてきたかを、音楽家としての視点と体験を交えて論じます。刊行に合わせて、掲載曲のピアノ伴奏音源(別売)もリリース予定で、特別収録として塩入氏による「君が代」の歌唱音源を収めるとしています。今後、教材復刻が教育史・文化史の検証や議論にどう活用されるかが注目されます。

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