全国の高校奨学生とその保護者を対象にした調査で、奨学生世帯の貧困率が53.5%に達し、平均収入は249.3万円、過去1年に食料を買えなかった経験がある世帯は52.2%に上ることがわかりました。電話代や電気・ガス代などの料金滞納経験は一般の5~7倍、ヤングケアラーは21.7%、部活動参加率は一般より8.4ポイント低く、生活と学習の双方に深刻な影響が確認されています。

調査は2025年8月6日~9月5日に実施。対象は高校奨学生と保護者それぞれ3907人で、回答は生徒2157人(55.2%)、保護者2264人(57.9%)でした。方法はオンラインと郵送の併用です。

保護者に障がいがある世帯では平均収入が234.1万円、貧困率は60.7%と一段と厳しく、税金・社会保険料の滞納は約5世帯に1世帯でした。剥奪指標では、新しい洋服が30.7%(一般の9.8倍)、サイズの合う靴16.4%(6.1倍)、スポーツや趣味の道具・ウェア22.3%(5.9倍)、友人と遊ぶ費用36.2%(5.6倍)と大きな乖離が示されました。

アルバイトの理由は自分の生活費43.3%、学校で必要な物19.9%、家計への拠出17.5%でした。親に障がいがある奨学生では家族のケアを担う割合が25.8%にのぼります。阿部彩・東京都立大学教授は、高校生を対象にした点と障がい者家庭の厳しさが数値で可視化された点、子どものケア負担の分析の意義を指摘しています。

結果は、高校段階での経済的困難が学習機会とウェルビーイングを削ぐ実態を示します。学費だけでなく食の支援、公共料金の滞納抑制、ヤングケアラー支援、部活動へのアクセス改善などの複合施策が求められます。今後は追跡や地域差の分析が進めば、より精緻な支援設計に資すると見込まれます。

【調査概要】

名称 第1回あしなが高校奨学生調査

期間 2025年8月6日~9月5日

対象 高校奨学生と保護者 各3907人

回答 生徒2157人(55.2%)/保護者2264人(57.9%)

方法 オンラインと郵送の併用

協力 阿部彩(東京都立大学教授・子ども・若者貧困研究センター長)

source: PR TIMES

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