Crypto Garageのリサーチャー桑原一郎氏によるカストディアルウォレット(事業者が利用者の鍵を管理する方式)に関する論文が、国際会議「IEEE Blockchain 2025」に採択された。採択論文は「TransparenKey: TPM-Backed Open-Source Auditable Custody Wallet」で、IEEE Xplore上で公開されている(文書番号11264666)。暗号資産の保管業務では、鍵生成や署名など重要処理が外部から見えない「ブラックボックス化」が不正流出の一因となってきた。研究は、TPM 2.0(端末内のセキュリティチップ)とリモート構成証明(稼働中ソフトの正当性を遠隔で検証する技術)、オープンソースを組み合わせ、鍵生成・署名の操作に改ざん困難な証跡を残す枠組みを提案する。これにより、管理業者への信用前提から、ユーザーや監査人、規制当局が外部検証できる「検証可能なモデル」への転換を狙う。今後は、学術成果を実務要件に接続し、次世代カストディ標準や業界の安全性向上にどう波及するかが焦点となる。
【論文情報】
TransparenKey: TPM-Backed Open-Source Auditable Custody Wallet
https://ieeexplore.ieee.org/document/11264666
source: PR TIMES
