NTTは9日、次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」を中核に据えた「光の街」づくりを日比谷エリアで開始し、東京都千代田区内幸町一丁目で建設中の超高層ビル「NTT日比谷タワー」(高さ約230メートル、地上48階)に本社を2031年に移転する予定だと明らかにしました。タワーの竣工予定は2031年10月末で、延床面積は約36万1000平方メートルに達します。
この取り組みは、少子高齢化や温暖化による電力需要増といった社会課題に対し、光技術とAIを組み合わせた省電力なデジタル基盤で応える狙いがあります。IOWNを導入したオフィスでは、NTT独自の大規模言語モデル「tsuzumi2」や複数AIを連携させる「AIコンステレーション」を活用し、国境を越えたリアルタイムコラボレーションや業務自動化を促進するとしています。
日比谷公園と接続する低層部には大規模パサージュ「(仮称)Cross Gate」を設け、壁と天井を一体化した大型LEDビジョンで、世界同時発表イベントや体験型エンターテインメントを展開する計画です。音響と映像を融合した「音響XR技術」により、遠隔地の会場とつなぐ没入型コンテンツの実証も見込まれます。
環境面では、オフィス部分で従来比50%以下のエネルギー消費を目指す「ZEB Ready」性能を取り入れ、IOWNとAIによる需要予測で設備を最適制御する「Just Enough Energy」により、CO₂排出量を10~20%削減すると説明します。将来は光量子コンピュータや水素エネルギーの導入も視野に入れ、カーボンニュートラル達成を掲げます。
内幸町一丁目街区全体は延床約110万平方メートルの「TOKYO CROSS PARK構想」として再開発され、街区の完成は2037年度以降の見通しです。NTTは日比谷タワーを実証フィールドに、得られた技術や運用ノウハウを周辺エリアや国内外の都市開発へ横展開するとしており、官民連携型スマートシティのモデルケースとなるかが注目されます。
【プロジェクト情報】
NTT日比谷タワー
所在地 東京都千代田区内幸町一丁目1番10他
延床面積 約361,000㎡
建物高さ・規模 約230m/地上48階・地下6階・塔屋2階
主用途 オフィス、産業支援施設、ホール、商業、宴会場、ホテルほか
タワー竣工 2031年10月末予定
街区全体竣工 2037年度以降
source: PR TIMES
