和歌山工業高等専門学校などの研究チームが、深海生物コウモリダコ(Vampyroteuthis infernalis)の全ゲノム配列を世界で初めて解読し、ゲノムサイズが約12Gbp(120億塩基対)に達する頭足類最大級で、既知動物でも3番目に大きい規模だと示しました。ヒト(約30億塩基対)の約4倍に相当します。地域は日本近海です。
巨大化の主因はLINE(長鎖散在反復配列)と呼ばれる自己増幅性の転移因子の増加で、遺伝子数は他のタコ類と大きく変わらない一方、遺伝子の並びを比べるシンテニー解析では、タコよりイカ類(ヤリイカやソデイカ)と一対一で対応しやすい保存性が確認されました。染色体構成も祖先的特徴を残し、現生タコ類が大規模な染色体融合・再編成を経て進化した可能性を裏付けます。
成果は英文誌iScienceに2025年10月23日オンライン公開、11月21日掲載。今後は低代謝や反復産卵など深海適応と、ゲノム巨大化の機能的な関係を検証する研究基盤として活用が見込まれます。
source: PR TIMES
