住友重機械工業と広島ガスが広島県廿日市市に建設した液化空気エネルギー貯蔵(LAES)商用実証プラントが、2025年12月1日に商用運転を始めました。容量は5メガワット×4時間貯蔵で、充電出力は4メガワットです。9日には竣工式も行われました。

この設備は、液化空気をつくる過程でLNG(液化天然ガス)の冷熱を利用して充電効率を高める仕組みを採用しており、LNG冷熱を組み合わせたLAESとしては世界で初めての商用プラントとされています。住友重機械が設計・建設・運転・運用を担い、得られた運転データを基に設備の合理化やコスト低減を検証します。広島ガスはLNG冷熱を供給し、自社工場ボイラの省エネやCO2排出削減につなげる狙いです。

LAESは、余剰電力を使って空気を圧縮・冷却し液体にしてタンクに保存し、必要時に再び気化・加熱してタービンを回す長時間エネルギー貯蔵技術です。慣性力や無効電力も安定供給できるため、電力系統の周波数や電圧を安定させる機能も持ち、太陽光など変動の大きい再生可能エネルギーと組み合わせることで火力発電の一部代替が可能とされています。

今回の商用実証では、法令・規格への対応、未利用LNG冷熱の有効利用による効率改善、日本の電力市場ルールへの適合性の3点を重点的に検証します。長時間蓄電と系統安定化ニーズが高まるなか、実証結果によっては国内外で同様の設備導入が進む可能性があります。

【施設情報】

住友重機械工業株式会社 廿日市エネルギー貯蔵発電所

広島県廿日市市木材港南11-71(広島ガス廿日市工場内)

source: PR TIMES

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