栃木県足利市の菓子メーカー・大麦工房ロアが手がける小麦不使用の「大麦栗テリーヌ」が、2025年11月時点で累計販売数前年比300%に達し、同社の年商は約45億円、従業員数は200人規模に拡大しています。大麦を使ったスイーツに特化したメーカーは世界でも例がなく、同社は自社調査で「世界で唯一の大麦スイーツ専門メーカー」と位置づけています。
同社は日本一の大麦生産県である栃木を拠点に、1995年から大麦を菓子に活用する研究を開始し、1997年に小麦を一切使わない「大麦ダクワーズ」を開発しました。大麦は小麦と違いグルテンを含まないため膨らみにくく、製粉方法や品種ごとの配合を最適化する独自技術が必要とされます。こうした技術を背景に、大麦ダクワーズや大麦マカロン、大麦栗テリーヌなどの看板商品を展開しています。
成長の背景には「第3次大麦ブーム」とされる健康志向の高まりがあります。大麦に含まれる水溶性食物繊維「β-グルカン」は、食後血糖値の上昇を抑える機能が認められており、アメリカFDAはコレステロール低下や心臓病・糖尿病予防に関する健康強調表示を認可しています。また、大麦に含まれるギャバ(GABA)の作用による睡眠やストレスの改善効果も機能性表示食品として評価されています。
同社は農業法人「大麦工房アグリ」を設立し、地元農家と連携して大麦栽培を推進。高齢化で増える耕作放棄地を大麦畑に再生し、足利市内の耕作放棄地の1割以上を農地に戻したとしています。冬は大麦、夏は米の二毛作で生産性を高める一方、東日本大震災の塩害農地の再生にも協力してきました。大麦は強い作物で、荒地の緑化やCO2削減にもつながると説明しています。
大麦の国内生産量は1960年のピーク時の約20分の1まで減少しており、長期の減反政策や農家の高齢化で生産基盤は弱体化しています。同社は「大麦は地球を救う」を経営理念に掲げ、栽培から加工、菓子製造、販売までを一貫して行うことで、大麦の健康価値と環境価値の両面から市場拡大を図っています。今後はグルテンフリー需要や機能性表示食品市場の拡大を追い風に、大麦スイーツの認知度向上と国内外への販路拡大がどこまで進むかが注目されます。
【商品情報】
大麦ダクワーズ:小麦不使用の大麦スイーツ第1弾(1997年発売)
大麦マカロン:大麦粉を使ったマカロンシリーズ
大麦栗テリーヌ:累計販売数前年比300%を記録した看板商品
焙煎麦めし:焙煎した大麦を使った食品
【企業情報】
大麦工房ロア
栃木県足利市大月町3-1
source: PR TIMES
